金沢学院大学

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NEW第31回島清恋愛文学賞決定
ヒコロヒーさん「黙って喋って」
7月31日に本学で選考会開催

 金沢学院大学が主催する第31回島清恋愛文学賞は7月31日、お笑い芸人として活躍するヒコロヒーさんの「黙って喋って」(朝日新聞出版)に決まりました。恋愛の諸事情の切り取り方のうまさや恋愛のままならない様子、誰もが思い当たる経験を短編によくまとめていると評価されました。
 選考委員会は同日、本学で開催され、作家の村山由佳さん、島田雅彦さん、桜木紫乃さん、本学の秋山稔学長が選考委員を務め、選考過程を学生に公開しました。「黙って喋って」は恋心を言い出せない切なさや断ち切れない不倫、破局による大きな喪失感など、現代の恋愛を18の短編にまとめています。
 選考に当たった島田さんは「多岐にわたる恋愛の諸事情をうまく切り取り、自身の身体感覚のようにリアルに表現している」と評価し、桜木さんは「話し言葉の使い方がうまい。恋愛小説は難しいといわれる時代に、独自の切り口から少ない枚数で書き上げる力がある」と感想を述べました。村山さんは「学生が選ぶ作品と作家が選ぶ作品が一致し、ヒコロヒーさんの作家としての可能性を見いだせたことは幸せなことだ」と選考を振り返り、秋山学長は「学生が心に〝ささる〟という言葉を使いながら推薦作を絞っていき、選考委員会でも〝ささる〟という視点を取り入れて作品を選んだ」と総括しました。
 選考委員会に先立ち、5月から推薦委員会が学内で数回開催され、文学部日本文学専攻の学生約20人が応募23作品の中から、選考委員会に推薦する3作品を選びました。推薦委には水洞幸夫副学長、蔀際子文学部長、島清恋愛文学賞講座を担当する羽鳥好之特任教授も加わって作品を吟味しました。島清文学賞は大学、学生が選考に関わる、全国的に珍しい文学賞です。 贈呈式は今秋、ヒコロヒーさんを迎えて本学で開催する予定で、賞金は100万円となっています。


学生に公開して開催された第31回島清恋愛文学賞の選考委員会

ヒコロヒーさん受賞コメント

 私みたいなろくでもない人間によるろくでもない話の数々が受賞とはわけのわからぬ恐縮な思いですが、こんな光栄な出来事に見舞われることができたのは、連載のお話をくださった朝日新聞ウェブの編集長、単行本化にあたって原稿の遅延行為を繰り返すだらしない私の面倒を見てくださった朝日新聞出版のおおらかな編集のお二人、優しい言葉で単行本の帯を包んでくださったばななさんと加奈子さん、各所で「芸人が書いてるからってなめちゃいけないよ」と熱く感想を述べてくださっていた俵万智さん、そういった方々のおかげで手に取り読んでくださった全ての皆さまのおかげかと思います。
普段はでたらめなコントをしています。謝りません。

【ヒコロヒー】

1989年10月15日生まれ、愛媛県出身。近畿大学文芸学部芸術学科中退。
〈黙って喋って〉
 〝友達以上恋人未満〟の彼への恋心を言いだせない切ない葛藤や、浮気者の彼に嫌気が差しながら関係を切れない女心、恋人との破局によって自分が無くなってしまったような喪失感、どうしてもやめられない不倫関係等、恋愛におけるリアルな場面、感情、言葉に出せない微妙な空気感を18の短編で切り取って見せる。

 
ヒコロヒーさん

〈島清恋愛文学賞〉
 大正時代に活躍した作家島田清次郎(しまだ・せいじろう、1899~1930)の顕彰を目的に、94年に出身地の旧美川町が制定した。合併で、運営を継承した白山市が2012年に廃止を決めたが、民間団体「日本恋愛文学財団」が引き継いだ。14年から金沢学院大学が運営母体となり、20年から主催となった。

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