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【芸術学部】
在学生が二科展入賞、日仏現代国際美術展に入選しました
金沢学院大学芸術学部芸術学科の学生2名が公募展での入賞、入選を果たしました。
1年生の三好優苺那さん(石川県立金沢辰巳丘高校出身、写真左)は第108回二科展へ油絵3作品を出品し、そのうち2作品「嫌いだけど好き」「憧れ」で新人奨励賞を受けました。二科展は、9月16日(月・祝)まで国立新美術館にて展示中で、その後、各地での巡回展も予定されています。3年生の石政瑠玖さん(富山県立富山北部高校出身、写真右)は日仏現代国際美術展に出品し、油絵「空事への華向け」が入選を果たしました。こちらは6月に同じく国立新美術館にて展示されました。
三好さんへのインタビュー
Q.二科展新人奨励賞を受賞を聞いたときはどう思いましたか?
「すごくうれしかったです! 国立新美術館で展示も見てきたのですが、他の方々の絵が素晴らしくて、本当に私でいいのかな? どう評価してもらえたんだろう?と気になってもいます」
Q.今回受賞された作品は人の顔が目を引きますが、モデルなどがいるのでしょうか? また、モチーフやテーマなども教えていただけますか?
「モデルは自分、自画像なんです。私は人の顔を描くのが好きなのですが、自分の顔なら表情や角度などモデルにしやすいと思いました。『嫌いだけど好き』という作品は〈矛盾〉をテーマにしています。例えばこのひよこは、満員電車や大人数の人が嫌いだけど人は好きなことを表しています。よく見ると一つ一つ顔や身に着けているものが違うんです。それから目覚まし時計は朝が苦手な私を起こしてくれるありがたいものだけど、朝の目覚まし時計って嫌だなって。そんなふうに嫌いだけど好きなものを描きました。また、構図にも注目いただきたい。インパクトというか圧を感じるほどの印象を与えるように描いています。制作期間は2~3カ月です」
Q.三好さんの作品の色には深みや生々しさを感じますが、描く際の工夫はあるのでしょうか?
「こだわりの一つが”黒”を使っていません。色の幅を広げたいという思いがあって、たくさんの色を使っています。肌感を描くのもすごく好きで、肌にもたくさんの色を使って、温かい雰囲気にしています。『憧れ』は憧れを掴みたいという思いを込めていますが、憧れってキラキラしたイメージで、それを掴もうとする手にもいろんな色が写っているんです。絵を本格的に始めたのは高校2年の頃からなのですが、油絵に力を入れたいって思ったのも、この色の重ねや厚塗りすることが面白いと感じたからなんです。色の鮮やかさや表現の幅が油絵の魅力の一つです」
Q.絵を始めたのは高校生からなんですか?
「はい。子どもの頃は絵よりも工作が好きで、段ボールや果物についているネットとかで色々作っていました。妹たちに段ボールでおままごと用のキッチンセットを作ったこともあるんです。蛇口をひねれるようにしたり、表面をアルミホイルで覆ってリアル感を出したりと工夫もして。それで高校で芸術コースに進み、そこで油絵に興味を持ちました」
Q.今後の目標と、将来の夢を教えてください
「これから現代美術展への出品にも取り組んでいきたいと考えていますし、他の公募展にも応募していけたらと思います。将来は美術の先生になりたいと思っていますが、これから色々経験しながら、他のことも視野に入れて柔軟に考えていきたいです」
石政さんへのインタビュー
Q.日仏現代国際美術展へ応募したきっかけはありますか?
「現代美術展で昨年初入選し、今春は落選してしまって、ならば東京の美術展に挑戦してやる!と思って応募して入選できました。今は来年の現代美術展にリベンジしたいと、描き始めています」
Q.今回の作品「空事への華向け」はどんな思いがあるのでしょう?
「”空事”は空言とも通じるように、現実ではありえないような空が意味することを感じていただければと思っています。”華向け”は、旅立つ人への贈り物などを意味する”はなむけ”から付けていて、応援したいという思いを込めています。絵を描くときは何となく構図やモチーフを加えていきます。モチーフ一つ一つにも意味を込めているので、ぜひ見ていただく方にはまず空を見ていただき、そこからモチーフを見ていき、ご自身での解釈や意味を見出していただけたらと思っています」
Q.石政さんの作品の不思議な世界観はどういう風に思いつくのでしょうか?
「実は一貫して”線路と空”を書いているんです。私が初めて絵を描いたのが高校2年生の時なんです。実は高校では陸上部に入ろうと思っていたのに、まさかの部活がなくて(笑)。少々ふてくされて1年間を過ごしていたのですが、先生の勧めで2年生から美術部に入ることになったんです。新しいことに挑戦してみるのも面白いかな、と。そこで、最初から大きな絵を描いてみようと、地元富山県のとある駅をモチーフに描いた作品が入選したんです。だから、私にとって線路は道しるべのような、まさに人生のレールのような意味合いがあって、そのあとも”線路と空”を描き続けました。うれしいことに周りからは、『幻想的』だとか『小説みたい』だとか言っていただいています」
Q.空についてはいかがでしょうか?
「きれいな空を見るのが大好きなんです。夕方にきれいな空が見えたらカメラを掴んですぐに撮影に走ります。朝焼けや夕焼けが特に好きです。描いた空から見てくださる方が何かを感じていただければうれしいです。実は今、現代美術展に向けて取り組んでいる作品は空は描いていますが、今回初めて線路を描かない選択をしています」
Q.石政さんは芸術学部の中でもビジュアルデザインを専攻されているんですね?
「はい。高校でも情報デザインを学んでいて、大学は東京でデザインを学べる大学に進学予定だったのですが、新型コロナの影響で行くことが叶わなくなってしまって…。しかし、どうしてもデザインや芸術のことが学びたいと思っていたところ、金沢学院大学の芸術学部を知り、進学しました。将来はデザイナーを目指していますが、自分でデザインするだけではなく、アートディレクターとして企画を実現していくような立場にステップアップしたいと思っています。また、二足の草鞋というわけではありませんが、油絵も続けていきたいです」