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NEW第32回島清恋愛文学賞贈呈式
渡辺優さん「学生さんが選んでくださったことがうれしい」
学生、高校生、一般の愛好家ら 約200人が出席

第32回島清恋愛文学賞贈呈式は10月18日、金沢学院大学講堂で行われ、本学学生や石川県内の高校生、一般の小説愛好家約200人が見守る中、受賞作「女王様の電話番」の著者渡辺優さんに秋山稔学長から賞状と副賞100万円が贈られました。渡辺さんは「恋愛がわからない(理解できない)主人公の物語で受賞できたことに驚き、それが島清恋愛文学賞の懐の深いところだと感じた。学生さんが選んでくださったことが本当にうれしい」と受賞の喜びを語りました。渡辺さんは「この作品の場合、主人公が何かを経験して成長して終わりというのは都合が良すぎる。恋愛が分からないところから始まって、分からないままでも人は幸せにも、不幸せにもなれる」と受賞作を解説しました=写真。
選考委員の村山さん「〝特殊を突き詰めて普遍に至る〟を実現した作品」
贈呈式には選考委員を務めた第16回島清恋愛文学賞受賞者で直木賞作家の村山由佳さん=写真=も出席し、性的なことに忌避の感情を抱くアセクシャルの女性を主人公にした受賞作について、「渡辺さんは主人公を自分のことだと思われても構わないという、強い覚悟を持って書いていて、特殊を突き詰めて普遍に至るということを実現している」と評価しました。また、「作家は何かがとんでもなく足りなかったり、有り余っていないと書けないが、渡辺さんにもそうした欠落と過剰がきっとあるはずで、今後も長く作品を書き続けてほしい」と期待を寄せました。同じく選考委員を務めた秋山学長は「恋愛小説に新たな可能性を見いだすことができた作品で、島清恋愛文学賞にとっても新たな歴史を刻んだ」とあいさつしました。
〝この世はスーパーセックスワールドだ〟
書きたいことを総括する1文から物語がスタート
贈呈式に続き、文藝懇話会が開催され、本学文学部の羽鳥好之特任教授が聞き手となり、渡辺さん、村山さんとともに、受賞作や小説の面白さについて掘り下げました。渡辺さんは小説を書くことについて「何気ない日常生活を見て、そこから先を妄想してみることが大事」と話しました。自身が性風俗の事務仕事を経験した中で感じたことや、性的マイノリティーの友人との会話から妄想を膨らませたことをきっかけに今作が生まれたと紹介しました。村山さんは執筆について「読者に、この主人公でこの景色を見せたいという企みと覚悟を持って書ききることが重要だ」と話しました。羽鳥教授は「受賞作の最初の1文、〝この世はスーパーセックスワールドだ〟が衝撃的だ」と話すと、渡辺さんは「実はスッと出た1文で、自分が書きたいことを総括する1文として書いた。割と褒めてくださる方が多くて…」と会場の笑いを誘いました。今後書きたい作品について、渡辺さんは「特にジャンルにこだわらず、その時興味を持っていることを書いていきたい。発表は未定だが、今は犬が誘拐される話や事故や災害で生き残った人たちのサバイバーズ・ギルトについて書いている」と笑顔を見せました。渡辺さんと村山さんは会場の学生からの質問にも答えました。
贈呈式の前に、羽鳥特任教授による「創作ワークショップ」が本学視聴覚室で開催されました。石川県内の高校生や本学学生らが参加し、文藝春秋で文藝局長などを歴任した羽鳥教授が小説執筆において重要なテーマ、視点、ストーリー構成などについてアドバイスしました。
学生が選考に携わる珍しい文学賞
島清恋愛文学賞は学生が選考に携わる全国的に珍しい文学賞です。旧美川町出身で、小説「地上」で人気作家となった島田清次郎の顕彰を目的に1994年、同町が制定しました。2014年から金沢学院大学が運営母体となり、20年から本学が主催しています。