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NEW【第32回島清恋愛文学賞】
渡辺優さん「女王様の電話番」が受賞
7月31日、本学で選考委員会を開催
授賞式は渡辺さんを迎え、9月下旬~10月上旬に予定
金沢学院大学が主催する第32回島清恋愛文学賞選考委員会は7月31日、本学で開催され=写真、渡辺優さんの「女王様の電話番」(集英社)の受賞が決まりました。渡辺さんは「恋愛をしない人間を描いた作品で恋愛文学賞を受賞できたことがうれしい」と喜びを語りました。
小説「女王様の電話番」は性的なことに忌避の感情を抱くアセクシャルな女性を主人公にした作品で、学生が応募26作品の中から3作に絞り、選考委員会で決定しました。選考委員は作家の村山由佳さん、島田雅彦さん、桜木紫乃さん、本学の秋山稔学長・理事長が務め、選考過程を学生に公開しました。
村山さんは「恋愛と一番遠いところにいて、矛盾を抱える主人公でありながら最後は納得できる物語で、読者を予定調和でないところまで連れていってくれた。渡辺さんは大きなエンジンを積んでいるような人で、いろいろな方向性の作品に取り組んでおり、将来が楽しみな作家である」と評価しました。島田さんは「男女が出会って別れてというストレートな恋愛を書きにくい時代に、ユニークな切り口で恋愛を捉えている」と感想を述べ、桜木さんは「昨今は恋もしないし、全てを整えてからことに及ぶ人たちが多く、こういう人たちに物申しているところが面白い」と作品を振り返りました。秋山学長は「学生の推薦委員会はグループに分かれて議論を交わすアクティブラーニングの中で、論理的思考や作品・登場人物への感受性を磨いていく。性の多様性が尊重された結果となり、意義深い」と選考会を総括しました。
推薦作選考に学生が関わる全国的に珍しい文学賞
島清恋愛文学賞は学生が選考に関わる全国的に珍しい文学賞です。本学文学部文学科日本文学専攻の2~4年生約30人が6月から、学内で推薦委員会を数回開き、応募26作品の中から選考委員会に推薦する3作品を選びました。推薦委員会には水洞幸夫副学長、島清恋愛文学賞講座を担当する羽鳥好之特任教授も加わって作品を吟味しました。
贈呈式は9月下旬から10月上旬に渡辺さんを迎えて本学で開催する予定で、賞金は100万円となっています。
- 渡辺 優(わたなべ・ゆう)
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1987年6月22日生まれ、宮城県出身。2015年に「ラメルノエリキサ」で第28回小説すばる新人賞を受賞してデビュー。「女王様の電話番」は第174回直木賞(2025年下半期)の候補に選ばれた。著作は「アヤとあや」「私雨邸の殺人に関する各人の視点」「月蝕島の信者たち」ほか。
〈女王様の電話番〉
主人公は、性的なことを受け付けない故に会社の先輩と別れ、居づらくなって会社を辞めた女性。彼女はSMの女王様をデリバリーする風俗店の電話番として働く。そこで出会った女王様に憧れを抱くようになり、食事に行く約束をするが、女王様は突然音信不通に。彼女は女王様を探して常連客に会いにいくが…。性欲が前提で成り立っている社会の中で、アセクシャルという自らのセクシャリティーと向き合いながら、主人公が自分らしい恋愛の形を探し求めていく物語。渡辺優さん受賞コメント
恋愛をしない人間を描いた作品で恋愛文学賞を受賞できたことがうれしい。作家デビューのころからお世話になった村山由佳先生に、先生が選考委員を務める文学賞で受賞できたことは恩返しができたとも言え、特別な意味がある。自分自身も恋愛メインでない人生を送り、世間とのギャップを感じながら生きてきた。時代的に恋愛は必ずしもしなくていいという感覚が浸透してきたと感じる中で、友人との会話や世論などを通じて感じた違和感を今作品で描いた。
〈島清恋愛文学賞〉
大正時代に小説「地上」で人気作家となった島田清次郎(しまだ・せいじろう、1899~1930)の顕彰を目的とし、94年に出身地の旧美川町が制定した。市町合併で、運営を継承した白山市が2012年に廃止を決めたが、民間団体「日本恋愛文学財団」が引き継いだ。14年から金沢学院大学が運営母体となり、20年から文学賞を主催している。