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NEW第31回島清恋愛文学賞贈呈式
ヒコロヒーさん「小説思い出し、笑ってもらえたら本望」

学生や文学愛好者ら500人余が詰めかけた第31回島清恋愛文学賞贈呈式
第31回島清恋愛文学賞贈呈式は1月10日、金沢学院大学講堂で行われ、受賞作「黙って喋って」の著者ヒコロヒーさんに秋山稔学長から賞状と副賞100万円が贈られました。人気お笑い芸人としても活躍しているヒコロヒーさんは「受賞は身に余る光栄。落語でも惚(ほ)れた腫(は)れたの物語が扱われるが、恋愛はロマンチックではあるけれど、傍から見ると滑稽だったり、つらかったり、悲しかったりもする。こうした〝引き〟の視点を読者に感じてもらいたい」とスピーチしました。会場を埋めた学生らに向かって、「これからいろんな経験をされる皆さんが小説を思い出し、これ、ヒコロヒーの小説とおんなじ道いっとるやないかいと、ふと笑ってもらえたら本望」と笑顔で語りかけました。
「黙って喋って」は恋心をなかなか言い出せない切なさや断ち切りがたい不倫、破局による喪失感など、現代の恋愛を18の短編にまとめています。7月に本学で開催された選考委員会では、話し言葉を巧みに使って、誰もが思い当たる経験やままならない恋模様をうまく切り取っていることが評価されました。
話し言葉のうまさ、確かな人間スケッチ
贈呈式には選考委員を務めた、第19回島清恋愛文学賞受賞者で直木賞作家の桜木紫乃さんも出席し、受賞作について「話し言葉の表現がとてもうまいし、人間スケッチが確か。短いものを書くとその人の力量がわかる。ヒコロヒーさんはもっと書ける人だし、今後を期待させる人だ」と選考を振り返りました。同じく選考委員を務めた秋山学長は「〝黙って喋って〟は恋愛小説の面白さを改めて感じさせてくれた。学生たちは島清恋愛文学賞の選考に真剣に向き合い、成長の場となっている。今後、文学界へ進むような人材が出てきてほしい」と話しました。
「人生を振り返り始める50代の色恋を書いてみたい」
贈呈式に続き、文芸懇話会ではヒコロヒーさんが桜木さんと対談しました。ヒコロヒーさんは「テレビ番組で能登には来たことがあるけど、金沢は初めて。金沢は歴史があって、洗練された街というイメージ。沖縄や京都で遊び尽くしたお金持ちが最後に行きつくところが金沢だと聞いたことがある。金沢はあんまり主張してこないけど、かえってそれがスケベな感じがして、とても良い」と会場を沸かせました。桜木さんがこれから書いてみたいものについて質問すると、ヒコロヒーさんは「50代の人たちの色恋沙汰を書いてみたい。黙って喋っては、恋愛のちぐはぐなところをジャッジレスに書いた。どんなクズも、バカも否定できないし、憎めない。小説にするか、コントにするか、ドラマ脚本にするかはまだ決めていないけど、仕事や子育て、恋愛を一通り経験して、これで本当に良かったのかと人生を振り返り始める世代に興味がある」と構想を披露しました。
この日は文学賞贈呈式に合わせ、小説の書き方などを紹介する創作ワークショップが本学視聴覚室で開催されました。文藝春秋で文藝局長などを歴任した本学文学部の羽鳥好之特任教授が講師を務め、小説の執筆に取り組む石川、福井県の高校生や愛好家ら約30人に、テーマ、視点、ストーリーが小説の重大要素であるとし、「小説を書くことは深く人間について考えることであり、書いてみることで初めて見えてくるものがある」と助言しました。
島清恋愛文学賞は学生が選考に関わる全国的に珍しい賞で、旧美川町出身で小説「地上」で大人気作家となった島田清次郎の顕彰を目的に1994年、同町が制定しました。2014年から本学が運営母体となり、2020年からは主催しています。